皆さんお疲れ様です。今回はサガシリーズ最新作「サガ エメラルドビヨンド」クリア後レビューです。
まず結論から行きたいと思います。
引き算の美学
プレイした感想を手短に書くと「サガスカから更に余計な不純物を落としてバトルに改良を加えた作品」といった感じでした。
詳細は下で書きますがサガスカから何を削ったかというと最大の要素はフリーシナリオでした。細かい部分では町も完全に撤廃されました。(サガスカでも町の中の探索などはできなかったが装備を強化したり仲間が増えたりなどのイベントはあった)
なのでゲームの流れとしてはイベント→バトル→次のイベント(バトル)の準備→イベント→
これをひたすら繰り返すことになります。
前作サガスカをプレイしていない人もいると思うのでまずサガシリーズがどんなゲームかを簡単に紹介したいと思います。
サガシリーズをプレイしたことある人は飛ばしちゃってください。
サガシリーズとは?
そもそもサガシリーズにもいくつか種類があります。
ゲームボーイシリーズで発売された魔界闘士サガシリーズ、
スーパーファミコンで初代が発売されたロマンシングサガ、通称ロマサガシリーズなど。
他にも分ければサガフロンティアや今では携帯のソシャゲーなどもありますが
魔界闘士サガシリーズやソシャゲ以外に関してはほとんどの作品に共通点があり、それが「フリーシナリオシステム」というものです。
これは1本の決められた道筋を辿るのではなく、数あるイベントの中からどこからクリアするのか、
またどうやってクリアするのか。強行突破か、安全策か、味方にするのか、倒してしまうのか。
これらをプレイヤーの意思で決めることが出来るというものでした。(作品によってはプレイの過程や選んだ主人公によってエンディングが変化するものもあります)
上の画像はロマンシングサガミンストレルソング、通称ミンサガです。
ロマサガが初めて発売されたころはこういったゲームは珍しく最初はシステムの難解さから敬遠する人も多かったですが、
次第に世のゲーマーたちに浸透していきロマサガ2,3,サガフロンティア(通称サガフロ)、アンリミテッドサガなどいろいろなシリーズが生まれていきました。
自分もサガシリーズはハマった人間で、いろいろな作品をプレイしました。
特に好きだったのはロマサガ2,3,サガフロ、ミンサガ(ロマサガミンストレルソング)です
この他にも閃きシステムといった戦闘中に突然新しい技を覚える他のゲームにはない画期的なシステムや好きなキャラに好きな装備や魔法を覚えさせることが出来る自由度の高い育成システム、
バトルやイベントも含め(全体的に)歯ごたえのある難易度、
サガシリーズ独特の世界観や特徴的なキャラのセリフ回し
(有名何処で言えば「念願のアイスソードを手に入れたぞ」や「私が町長です」)
などで人気が高まっていき独自の立ち位置を確立、
当時RPGといえばドラクエ派、FF派で分かれていたころに「ロマサガ派」という新しいジャンルを確立しました。(と、個人的に思っています)
時は流れサガスカーレットグレイス
そして時は流れ前作サガスカーレットグレイス(サガスカ)。これまでも色々改良・進化してきたサガシリーズですがサガスカで更に大幅に変化が訪れます。
それは町・ダンジョンの撤廃です。
普通RPGというと町で装備を整え情報を集めてフィールドでレベル上げ、ダンジョンを探索してボスを倒す。みたいな流れがオーソドックスな流れだと思うんですがこの作品には町やダンジョンは一切存在しません。厳密に言うと存在はするのですが探索要素は皆無です。
町では最低限の装備強化などのイベントのみ、ダンジョンはバトルのみ。宝箱なども一切存在しません。
なのでこのゲームの流れを言うと
町でイベント→装備強化などの準備→イベント→バトル→町でイベント→
これをひたすら繰り返すことになります。探索要素は一切存在しません。
「それ面白いの?」という人もいるかもしれませんがこれが結構面白いです。
確かに探索要素が0なのでタンパクなゲーム性ではありますがイベント自体は沢山存在し、フリーシナリオシステムにより様々な展開があるのでむしろ長いムービーをだらだら見るのが苦手な人や
使いまわしに近いマップを歩き回るだけなら
いっそ存在しないほうがマシという人もいるんじゃないでしょうか。(僕もそうでした。)特にサクッと遊べるRPGを探している人にはうってつけと言えます。
またとことんバトルに振り切った作品になっており、最初はシステムを理解するのに時間がかかりますがその中毒性は高く「コマンドバトルの最高峰」とも呼ぶ人もいるくらい完成度は高かったです。
簡単にバトルシステムを説明すると行動順は敵味方が同じタイムライン上に入り乱れており、行動はBPというポイントを共有しており、これを使用してそれぞれ攻撃や補助といった行動を行います。
これにより単純に強力な技を連発するという戦略は成り立たず、限られた行動回数の中でどう立ち回るかがカギとなります。
陣形というものが存在し、陣形によって初期BPとBP増減条件が変化します。
術主体にするか、脳筋プレイか、カウンター技で待ち受けるかなど、様々な戦略があります。
サガスカ無印は超時間のロードなどが問題視されていましたがのちに改良版、「サガスカ緋色の野望」なるものが発売され問題だったものはおおむね修正され追加要素も加わったまさに完全版が発売されました。
さらに時は流れサガエメラルドビヨンド
そして今現在サガエメラルドビヨンドに至ります。
数年ぶりのサガシリーズ完全新作ということで期待値はかなり高かったようですが…。
まずサガスカからの変更点を書いていきます。
サガスカからの変更点
連携が復活
バトルではまず連携が復活しました。
連携とはキャラ同士が連続して攻撃すると攻撃がつながりダメージボーナスが入ったり名前も大きく変化したりするシステムでサガフロが初のシステムです。
さらに今作は今までと違い連携がつながるかどうかがタイムライン上ではっきり視認できるようになりました。
またこの連携は敵も使用してきますので敵に連携させないようにしつつこちらがいかに連携するかがカギとなります。
新システム独壇場
これは一言で言うと一人連携です。
タイムライン上自分の左右に敵も味方も存在しない場合独壇場が発生、一人で連携を行うことが出来ます。なので味方が一人で大ピンチでもこの独壇場で大逆転、みたいなロマンあふれる展開もあり得ます。
ただしこれも勿論敵も使用してくるので適当に敵の数を減らせばよい、というわけでもなくなりました。
新リザーブ技「フォロー」「チェイス」
リザーブ技とは特殊な技で特定の行動に反応する技です。例えば攻撃してきた相手に先回りして攻撃を行うカウンター、味方が受ける攻撃を肩代わりするパリィなど。
今回新たなリザーブ技に「フォロー」「チェイス」というものが登場しました。
「フォロー」は一番最初の味方の行動の後に続いて行動して同じ敵を狙うリザーブ技でこれで連携も狙えます。
「チェイス」は相手の行動の後に発動するリザーブ技です。主に相手の連携を阻止する場合に使用します。
トレードシステム
余ったアイテムを出品して違うアイテムと交換できるシステム。
同じアイテムでも出品する数によって交換できるアイテムが変化します。
逆に出品しているアイテムに対して交換を行う入札もあります。
これはメニュー画面から行うことが出来ます。
HP以外も成長するようになった
サガシリーズは筋力や敏捷性などは成長しない作品がほとんどですが
今作は技や術を使用するとそれぞれ対応したステータスが
上昇するようになりました。
お助け要素「せんせい」
今作はバトルに参加していないキャラは成長しません。
そこで控えのキャラもある程度成長できるようにせんせいに弟子入りという要素が増えました。
弟子入りしたキャラはHPや筋力などある程度自由に指定したステータスを成長させることが出来ます。
また条件を満たせば一度に弟子入りできる人数も増えていきます。
武器の種類が大きく変化
以下が今回登場する主な武器の種類です。
片手剣 | 両手剣 | 片手銃 | 両手銃 | 体術 | 術 |
長剣 | 大剣 | 片手銃 | 機関銃 | パンチ | 火 |
細剣 | 刀 | 火炎銃 | キック | 水 | |
短剣 | 薙刀 | 電撃中 | タックル | 木 | |
斧 | 爆撃銃 | 土 | |||
科学銃 | 金 |
弓やこん棒などがなくなりました。代わりに銃の種類が増えています。
良かったところ
正統進化したバトルシステム
基本的にバトルは前作と根本は同じですが連携の復活と独壇場の登場により一層緊張感と戦略性が高まりました。
特に連携は繋がるかどうかが目視できるので昔のシリーズのように半分運任せではなくきっちり計算できるところが嬉しいです。(勿論インタラプト技などで予期せぬアクシデントはあります)
これによりこちらの連携を優先するのか、相手の行動を阻止するのか、あえて連携は狙わず強力な技で攻めるのかなど前作より更に考えることが増えました。
バトルシステムに関しては前作を躊躇しつつ正統進化したという感想で間違いないと思います。
多種多様な種族
この世界には人間以外にもメカ、動物(魔物?)、吸血鬼、傀儡など様々な種族が仲間になりそれぞれ違った特徴があります。
メカは技を閃かない代わりに装備で強くなったり技を覚える、動物は魔物の技を吸収できるなど。
強化方法がバラエティに富んでおり、なかなか飽きません。
なんとなくサガフロに設定は似ているかもしれません。
賛否両論
町の完全撤廃
前作同様装備の強化はありますがそれもメニュー画面で完結します。
それだけのために町に立ち寄るのもめんどくさいという意見もあればいくら何でも削りすぎという声もあるようで自分も確かに楽にはなったが味気なさすぎるという気もするので賛否両論に書いておきます。
良くも悪くも周回前提ゲーム
1周2周ではとてもすべてのアイテムや技などはコンプリート出来ません。
基本周回前提の作りになっています。
主人公によっては初見で攻略サイトなしでもクリアするのに10時間かかりません。
飽きずにサクサク別のキャラでプレイできる、という感想もありますが終わるのが早すぎてキャラに愛着がわかないのもあります。
気になった点
フリーシナリオの撤廃
一応シリーズから漏れず主人公は選択式ですがストーリーはほぼ一本道です。
移動できるマップがエリアごとに完全に決められており、ビジョンというシステムで次に行く目的地もほぼ明記されています。(何個か選択肢が出現する場合はある)
しかしとても今までのフリーシナリオとは呼べず、基本的に主人公を選んだらあとはほぼ1本道と思ってもらって大丈夫です。
なので昔のシリーズのように「先に南の格闘家を仲間にして鉱山を開放して次はどうしよ?まだ戦力が厳しいからホーリーオーダーも仲間にしてから運河要塞を~」みたいなプレイはないです。
ロード時間
やや長いです。プレイできない、我慢できないほどではないです。無印サガスカほど遅くもないですが
緋色の野望ほども早くないです。足して割った感じでしょうか。
バトルがほぼメインのゲームなのでけっこうストレスかもしれません。
ストーリー
正直ほとんど理解できませんでした。サガシリーズはもともとそういう部分が大きくある程度想像に任される部分もありましたがより拍車をかけています。
恐らく主人公ごとがそれぞれ違う世界で生きているようなので数多くの設定・用語が登場するからでしょうか。よくわからないまま話は進んでいきます。説明も結構なかったりあり得ない超展開があったり。
演出
サガスカからあまり進化・変化しているようには見られませんでした。
グラフィックはさすがに多少ましになっていますし滑らかにもなっていますがPS2でも表現可能じゃないかと思える出来です。
スキップ機能がない
現状バトル・イベントともに高速化・スキップが実装されていません。
周回前提のゲームで同じイベントを何回もだらだら見るのは正直しんどい。
バトルも結構ロードが長い上にバトルメインのゲームな割にスキップ・高速化ともに未実装です。
ここはサガスカ無印の失敗を反省して最初から実装しておいてほしかったです。
まとめ
フリーシナリオの撤廃など気になる点も多く、ハマる人は少ないかもしれません。
バトルの高速化などがまだ未実装なのも気になります。(前作の改良版にはあったので余計気になります。)グラフィックなども大幅進化したかと言われればyesとはなかなか言えません。
しかし決してバトルに派手さはないものの、
連携の復活でバトルは正統進化しており、他のコマンドバトルのゲームと比べても
ここまで奥深い戦略性と絶妙に歯ごたえのある難易度を融合させたゲームはなかなか無いように思えます。
また様々な種族をいろいろな手段で強化していく仕様は昔のサガやサガフロンティアを彷彿させるシステムであり、ただ敵を倒すだけではなくキャラ育成の一つのスパイスにもなっていて飽きがなかなか来ないように感じます。
広大な世界を探索して冒険している感じを味わいたい、
という人には合わない作品だと思いますが、
仲間を様々な手段で成長させ目の前の敵をどう撃破するかを試行錯誤し、強敵を倒した時の達成感が何よりの喜び、という人には間違いなく刺さる作品だと思います。
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